愛愛柑
絵の具が綺麗に混ざらない。
他の人は美しい色になるのに私が混ぜると汚い色になってしまう。
一生懸命やってるつもりなんだけど。
憂鬱と諦めの混じった感情のもと起床する。
今朝も一人。これからもきっと一人。
いつから私の人生はこうなんだろうか。
冷房の効いた部屋。暖かい珈琲。バナナ。
YouTubeの占いを見てほんの少しだけ上がる自己肯定感を武器に今日も一日を送る。
小さい頃の私によれば、
すでに小学生くらいの子供がいて、仕事に家事にあくせくしながら、
それでも幸せに暮らす家庭が目の前にあるはずなんだ。それなのに。
いや、それも本当に夢見たわけじゃない。
小学校で将来の夢を書く授業があった。私は全く思いつかなかった。
刻々と締め切りの時間が迫る中、焦った私は、
前の席に座る女の子のプリントを盗み見て「ケーキ屋さん」と一言記入した。
適当な理由をその場ででっちあげ、終わらせた。
昔から「どうしてもこれがしたい」「どうしてもこれがほしい」といったような気持ちが全くない。
自分が欲しいものをほかの人が欲しいと言ってくれば、譲ってしまうし、
あなたがしたいことを言ってと言われても自分に合わせてもらうのがなんだか申し訳なくてうまく伝えられなかった。今でもそうだ。
YouTubeの占い動画はこぞって奇跡が起きる、あなたは素晴らしい、これから変化起きる、最高の運勢になる、と私をほめそやす。
そうならいいなあ、と珈琲の苦みに顔をしかめながら今日も一日がはじまっていく。